軍離職者対策センター 県、市町村と運営支援協議へ


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 元基地従業員の再就職やアスベスト(石綿)被害の相談など受け付ける沖縄駐留軍離職者対策センター(宜野湾市、理事長・与那覇栄蔵全駐労沖縄地区本部委員長)が、県や市町村の補助金削減で運営費が不足している件で、県は関係市町村との意見交換会を30日に県庁で開く。

嘉手納より南の米軍基地返還計画で、再就職相談の増加などが予測される中、課題を共有し、支援策を議論する。
 同センターは全駐労や県が出資し1973年に設立。大量解雇で離職した基地従業員の再就職相談業務などを担ってきた。しかし大量解雇の発生がないことや行政改革などの理由から補助金が減少。補助金の合計は最多だった95年度の約4800万円から、2012年度はその3割弱の約1300万円に落ち込んだ。
 限られた予算での運営を余儀なくされ、05年に10人いた職員は5人に減少。相談員数や出勤回数も減らし、会計担当は正職員から臨時職員に、専務理事と事務局長を兼任に変更した。
 上江洲謙専務理事は「職員も手弁当でやっているが、これ以上補助金が減るとセンターが成り立たない」と訴える。
 県労政能力開発課は来年度予算で相談員増員などの支援策を検討中で、長期的には石綿相談関連のデータベース化も想定する。同課は「米軍再編の動きが加速する中、すぐに対応するものと長期的に強化するものと分けたい」と説明する。
 県が拠出する補助金は、同センターに運営を委託していた「健康福祉センター」が行革で06年3月で閉鎖した影響で、大きく減少している。県の補助額は05年度は約2800万円だったが、06年度600万円、10年度からは500万円に減っている。
 一方、市町村では補助を打ち切った自治体もある。08年度まで50万円を補助していた那覇市は09年度から補助金を出していない。
 連合沖縄と離職者対策センターは9月下旬に那覇市に補助金復活を要請。県議会会派の県民ネットは今月23日に県にセンター継続へ支援強化を求めている。