嘉手納基地、機能強化へ 特殊作戦群の施設増設計画


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第353特殊作戦群の常駐地区

 【嘉手納】米空軍嘉手納基地の第353特殊作戦群が常駐している地区に、シミュレーター(模擬飛行装置)やハンガー(格納庫)などの増設計画があることが29日分かった。同作戦群は、空軍仕様の垂直離着機CV22オスプレイを運用する特殊作戦司令部の下部組織で、専門家は「オスプレイ配備に向けた施設建設の可能性が高い」とみている。

 増設計画は嘉手納基地の文化財保護係が嘉手納町教育委員会の文化財担当者に送付した資料に記載されていた。特殊作戦用のMC130固定翼機が約10機駐機している用地や周辺原野に道路やシミュレーター、ハンガーを建設し、駐機場を拡充する計画で、整備面積は30ヘクタール以上が見込まれる。
 町によると、米軍は独自に業者と文化財調査の契約を結んでおり、11月中旬にも町担当者の立ち会いで調査を始めたいとしている。
 計画にはMC130より小型の固定翼機を想定したとみられる図もある。在日米軍を監視する市民団体「リムピース」の頼和太郎氏は「特殊作戦部隊で固定翼を持つ航空機はC130系の派生型とオスプレイしかない」と指摘。シミュレーターが設置されることなどから「MC130がCV22オスプレイと交代する可能性が考えられる」と分析している。
 計画について米軍は琉球新報の取材に対し、施設が老朽化して使用期限が切れているとした上で「工事はまだ承認されていない。設備や資金、運用方法などを調査中だ」と回答。
 オスプレイ配備の可能性については「決定された計画はない」とこれまでの説明を繰り返した。一方、防衛省は増設計画について把握していないとしている。
 計画に対し當山宏嘉手納町長は「基地の大幅な機能強化であり、断じて容認できない」と反発。オスプレイ配備の可能性に関しては「今いる航空機のためだけに大規模施設を造る必要があるのか。CV22の受け皿にしようとしているのではないか」と語った。町議会は1日に対応を協議する。
(大城和賀子、池田哲平)