戦争体験、古里で講演 名護出身・山里さん


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沖縄戦当時の避難生活を語る山里宗健さん=10月29日、名護市立東江中学校

 【名護】名護市大東出身で東京在住の山里宗健さん(78)を招いた平和教育講演会が10月29日、名護市立東江中学校で開かれた。沖縄戦のさなかにやんばるの山中に避難した経験を語った山里さんは、「とにかく早く戦争が終わってくれと思うだけで何も考えられなかった」と当時を振り返り、「子孫のために恒久平和を願う」と語った。

 1945年3月23日の空襲で焼け出された山里さんは、家族と山中に避難したが、父親が5月に病で亡くなり、カタツムリを食べながら逃げ惑ったという。逃げる途中、食料を分ける日本兵がいる一方、方言を使うだけでスパイ視されたことなど戦場の実態を話した。
 山里さんは「最初に避難した(名護市の)伊差川は中南部の人もあふれて寝る所もなかった。父親が倒れても医者も薬もない状態だった」と戦場の厳しい状況を説明した。
 講演会は山里さんが古里の子どもたちに平和の尊さを伝えたいと希望し、学校側が応じた。講演を聞いた新垣愛華さん(3年)は「避難生活の実態を聞いて平和の尊さを実感した。今日の話を学校での平和学習につなげ、より知識を深めたい」と感想を述べた。