女性ならではの組踊を 県立芸大OGが研究会


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「女流組踊研究会めばな」の会員たち=10月26日、浦添市の国立劇場おきなわ

 県立芸大大学院で組踊を学んだ女性の立方(たちかた)(実演家)9人がこのほど、「女流組踊研究会めばな」(山城亜矢乃代表)を結成した。組踊は男性演者による女形(おんながた)の伝統があり、女性が舞台に立つ機会は少ない。

大学院修了後も研究ができる場をつくり、女性ならではの組踊を目指そうと、研究会を発足した。今後、活動を本格化させ、来年2月7日には国立劇場おきなわで旗揚げ公演の「二童敵討(にどうてぃちうち)」や組踊鑑賞教室を開く。旗揚げ公演は県伝統芸能公演の一環。
 組踊は琉球王朝時代に士族の男子のみに継承された。沖縄の日本復帰と同時に、国の重要無形文化財に指定された。これまで、組踊の伝統的な姿を取り戻そうと、国が認定する技能保持者は男性に限られたため女性の出演機会が減った経緯がある。
 「めばな」の会員は山城代表のほか、伊佐幸子さん、與那嶺奈津子さん、与那嶺綾子さん、藤田佳子さん、西村綾乃さん、新里春加さん、大城淳紀さん、浦崎えりかさん。年齢は20~30代で、上は芸大5期生、下は18期生まで参加している。「めばな」の名は、芸大の女性有志が1997年に催した公演「美〓(めばな)」から引き継いだ。波照間永吉県立芸大教授が名付け親だ。
 発起人の山城代表は「大学院修了後、みんなそろって組踊を学べる場がなく『もっと勉強したい』と思っていた。女性ならではの組踊が表現できるのではないか」と話した。
 芸大時代の教官で「めばな」の相談役を務める組踊立方(人間国宝)の宮城能鳳(のうほう)さんは「組踊は世界文化遺産に登録されたが、まだ認知度は低い。これまで男性中心だったが、底辺を広げるために女性も頑張ってほしい」と期待した。(伊佐尚記)

※注:〓は女ヘンに「華」