失恋ソング限定で異彩を放つ
数あるクリスマス系CDの中で異彩を放つ1枚。なぜなら、本作は“失恋ソング限定”だからだ。2枚組などで玉石混交の、とにかく冬物を詰め込んだ代物とは訳が違う。
1曲目、ドリカムの『もしも雪なら』で、「会いたい人に会いたいと言えないクリスマス」「大人の方が恋はせつない」と歌われ、いきなりズキュンと刺さる。その後は稲垣潤一や徳永英明などお馴染みの失恋ソングが続き、「同情まじりの優しさは/ダイヤモンドも切り刻むナイフのよう」と歌い上げる8曲目の小谷美紗子『嘆きの雪』で悲しみの底へ。その後、15曲目の山崎まさよし『8月のクリスマス』までは過去への愛おしさや感謝が印象に残る。
全体を通して聴くと、クリスマスの失恋ソングはイルミネーションを彷彿させるサウンドが多いためか、最終的に物悲しくならないのが興味深い。これこそが“クリスマスの魔法”だろう。本作を聴けば、年末の駆け込み合コンなどせずに、一人の時間を大切にできるはず。
(ユニバーサル・2415円)=つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)
ユニバーサル ミュージック (2013-11-06)
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