辺野古埋め立て 承認判断、越年も 県幹部、環境負荷を懸念


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた国の公有水面埋め立て承認申請をめぐり、12日に開かれた県幹部の会議で、環境生活部が埋め立てに使う土砂に外来種が混入する懸念があり、環境への負荷が大きいと説明していたことが14日、分かった。

提出期限の29日までに環境生活部の意見が県に提出されるが、県幹部は「名護市長の意見と同様に内容によっては国に再質問する必要性が生じる」としている。作業の進ちょく状況によっては、知事の埋め立て承認の可否判断が年内に間に合わない可能性が出てきた。
 埋め立て承認の可否判断の時期について、仲井真弘多知事はこれまで「12月以降」としているが、政府は来年1月の名護市長選までに知事から承認を得たい考えで、可否判断時期が焦点の一つとなっている。
 意見の提出を前に、環境生活部は12日までに辺野古の環境影響評価書を審査した県アセス審査会の委員に対し、個別で意見を聴取した。従来の埋め立て申請では、専門家の意見を聞く規定はないが、環境生活部は、基地建設の案件であることを重く見て助言を得た。委員の意見やこれまでの審査会答申、知事意見などを踏まえて環境生活部の意見としてまとめる方針だ。
 複数の関係者によると、委員からは、埋め立て申請書で初めて示された県内の土砂採取場所が、ジュゴンの餌場や回遊場所だったとして、ジュゴンにもたらす影響を懸念する声などがあったという。
 12日の会議に出席した県幹部によると、土木建築部は、辺野古沿岸域で確認された絶滅危惧種のジュゴンの食跡や、ウミガメ類の産卵や上陸があった場所も地図などを使い、説明した。
 会議では1988年以降知事が埋め立て承認申請を許可しなかった事例が一度もないことなども報告された。これに対し仲井真知事は、環境生活部の意見を踏まえた上で貴重生物の生態系や環境面への影響を判断していく考えを示した。