辺野古埋め立て 知事の不承認も可能と識者が指摘


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請に対する、仲井真弘多知事の判断が近づいている。県が確認できた1988年以降、公有水面埋立法に基づく国の申請を都道府県知事が不承認とした事例はないが、専門家は「地方自治では知事判断の裁量が認められている」と指摘する。

同法を所管する国土交通省も不承認は可能との見解を示している。
 県が現在進めている埋め立て申請の審査は「法定受託事務」だ。国が都道府県などに委託する「機関委任事務」が2000年の地方自治法改正で廃止され、自治事務と法定受託事務に再編された。法定受託事務は自治事務よりも国の関与が強いが、かつての機関委任事務とは違い、地方公共団体の事務となっている。行政法に詳しい仲地博沖縄大副学長は「法定受託事務は国と県でどちらかの考えが優先することはなく、対等だ」と指摘。地方自治を研究する島袋純琉球大教授は「改正地方自治法の地方分権の趣旨からは、知事の不承認判断は大いにありうる」との見解を示す。
 一方、公有水面埋立法に基づく知事判断について国土交通省水管理・国土保全局水政課は「法律に基づいて判断してもらえばよい」として、不承認も可能との認識を示している。
 仲井真知事の可否判断に関し、県も「不承認例がないことと今回の判断は関係しない。知事の裁量によるものが当然あるだろう」(當銘健一郎土木建築部長)との立場だ。(古堅一樹)