沖縄戦戦没者遺骨、DNA鑑定を佐賀NPOが実施へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄戦戦没者と遺族のDNA鑑定結果をデータベース化する計画を進めている塩川正隆理事長(右)と、父親の遺骨を探して沖縄を訪れた権水清さん(中央)=18日、県庁記者クラブ

 佐賀県のNPO法人「戦没者追悼と平和の会」(塩川正隆理事長)が、沖縄戦戦没者の遺骨と遺族のDNA鑑定を民間で実施し、得られた情報をデータベース(集積)化して身元特定につなげる事業を来年1月にも始める。

沖縄戦で行方不明になった父の遺骨を探すため沖縄を訪れた権水清(コンスチョン)さん(75)に同行していた塩川理事長が18日、県庁で会見し、明らかにした。
 厚生労働省が2003年度に始めた戦没者遺骨のDNA鑑定は「名前のある遺品」が見つかっていることが条件となっているため実施のハードルが高く、これまで身元特定に結び付いた沖縄戦戦没者は2件にとどまっている。塩川さんのNPO法人は、DNA鑑定を実施することで身元が特定できる可能性が高い遺骨について、民間の機関で鑑定し、記録として残す方針。
 鑑定で身元の特定に至らなかった場合でも、DNA情報をデータベースとして蓄積することで将来にわたって照合作業を実施できる体制を整える。来年1月には専門家と共に沖縄を訪れ、効率的な作業方法などを模索する。
 塩川理事長は「国がDNA鑑定を実施しない分も、民間で先行して実施したい。データベース化することで身元が特定できなかった情報も無駄にならない」と意義を語った。一方、権さんに関しては、今回の訪問で父親のいた部隊の移動経路などが判明しており、今後、照合のための作業を進める。また、平和の礎への刻銘を県に要請した。
 権さんは「父の遺骨を見つけたい。塩川さんと協力して活動したい」と話した。