「県外移設はあり得ない」 菅官房長官、辺野古案迫る


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 【東京】菅義偉官房長官は18日、国会内で自民党県連の翁長政俊会長、照屋守之幹事長らと会談し、米軍普天間飛行場の県外移設を公約に掲げる県連に対し、「県外移設はあり得ない」と述べ、名護市辺野古への移設計画を容認するよう強く求めた。

県連が県外移設を主張し続ければ「普天間が限りなく固定化する」とも述べ、辺野古移設か固定化かの「二者択一」の見方を強調した。翁長氏らと会談した党本部の石破茂幹事長も同様に求めた。これに対し翁長氏は県連内で県外移設方針について再協議し、月内に結論を出す意向を伝えた。
 普天間の移設問題をめぐっては仲井真弘多知事が辺野古沿岸部の埋め立て申請を承認するかが焦点となっている。菅氏の発言は県連に対し、移設容認への翻意を促し、知事の承認が得られるよう環境整備を図る狙いがあるとみられる。
 会談で菅氏は「辺野古移設は米軍の抑止力を考えて日米で決めたことだ。理解してほしい」と要求。同時に沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす考えも伝えた。会談後、翁長氏は記者団に「私どもの要望とは真っ向から違う。持ち帰って協議をする」と述べるにとどめた。「固定化」発言については「県連には重い話。普天間の原点は危険性の除去で、そこの論議をどうするかだ」と述べた。
 ただ仲井真知事はこれまで、政府・自民党内に辺野古移設を承認しなければ普天間が固定化するとの考えがあることに「一種の堕落」と強く批判している。
 一方、移設問題が争点となる来年1月の名護市長選について菅氏と県連は反現職の保守分裂を回避する必要性で一致。菅氏は「一本化に県連もぜひ協力してほしい。一本化して戦わないと厳しい」と要請した。
 翁長氏らは岸田文雄外相、小野寺五典防衛相らとも相次いで会談した。また石破氏と照屋氏は、県連が党本部に求めていた基地問題などの協議会について、設置することで一致した。