選挙時の「普天間」公約 全国会議員「県外」 県議「県内」主張はゼロ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
普天間問題をめぐる県関係自民党国会議員の公約(クリックで拡大)

 米軍普天間飛行場の移設問題で、政府・自民党本部が名護市辺野古移設を容認するよう圧力を強めているが、現在自民党の県選出・出身国会議員や県議で、前回の選挙時に県内移設を公約していた議員はいない。ほとんどが「県外移設」を掲げて当選しており、辺野古容認に転じた場合は公約に反することになる。衆参両院選や県議選時の自民議員の公約を振り返る。

<国会議員>
 自民の県選出・出身国会議員は現在5人。比例復活を合わせて県内4小選挙区の自民公認候補が全て当選した昨年12月の衆院選と、沖縄選挙区で島尻安伊子が再選を果たした2010年参院選では、5人全員が普天間飛行場の「県外移設」を公約に掲げて選挙戦を戦った。
 だがこのうち西銘恒三郎衆院議員(沖縄4区)と島尻氏は今年4月、相次いで普天間の辺野古移設を容認する考えを表明。一方、国場幸之助(1区)、比嘉奈津美(3区)、宮崎政久(比例九州)の3衆院議員はその後も県外移設を求める立場を維持してきた。
 今年7月の参院選で、党本部が辺野古移設推進を打ち出した際も国場氏は県外移設方針は変わらないと早々と強調。残る2人も本紙インタビューに応じ「政府は現行計画に固執することなく、県外、国外含めさまざまな代替案を検討すべきだ」(宮崎氏)、「衆院選時に公約で掲げた『県外移設』を続けていく」(比嘉氏)との考えを示している。
 党本部からの辺野古容認要求に対し、国場、宮崎両氏は20日に地元関係者と会談したが、結論を持ち越した。22日には比嘉氏も支持者らと意見を交わす予定で、公約を維持するか否かの判断をめぐり今週末にヤマ場を迎える。

<県議>
 昨年6月にあった県議選時の本紙政策アンケートでは普天間の移設問題について、自民候補は回答を保留した1人と無投票だった2人を除き、当選した12人全員が「県外移設」か「国外・県外移設」を主張した。
 ちなみに他の与野党候補を見ても、中道系のそうぞう2氏が「移設先は問わない」と答えたほかは、県内移設を公約に掲げて当選した候補者はいない。
 自民県連は今年7月の参議院選を前に、4月の県連大会で県外移設の公約を堅持することを全会一致で確認している。だが参院選で県外移設を掲げた公認候補が敗れ、具志孝助県議から県外移設について再度議論を求める声が上がった。
 具志氏は県議会9月定例会で仲井真弘多知事ら県の県外移設要求に関し、「この期に及んで立場を変えないのか」と批判。県連の翁長政俊会長は具志氏らの声を受けて10月、県議会11月定例会中に県外移設公約について集中的に議論するとの方針を示していた。
 だが今月18日に翁長氏と会談した党本部の石破茂幹事長や菅義偉官房長官が「(辺野古移設の)日米合意があるのに、県連が県外移設を主張するのはとんでもない」(菅氏)などと強く迫るなど、県外移設公約の撤回と、辺野古容認への方針転換をせかされている背景がある。