【島人の目】やっぱり勉強は大切だ


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 沖縄の子どもの学力は今年もまた全国最下位だと聞いた。僕は遠いイタリアでがっかりしている。昨年の今頃、島々の子どもの学力が全国最下位という報告を前にして、僕は「沖縄の子どもは勉強は駄目かもしれないがスポーツで頑張っている。勉強だけが全てではない。沖縄のスポーツキッズ、バンザイ」という意味のことを、まさにここ「島人の目」コラムに書いた。

 それは本心だったが、子どもたちはもうそろそろ「万年最下位」を抜け出して、突然トップにとまでは言わないが、例えば「ビリから5、6番目」くらいは目指しているのだろう、と楽観的な気持ちでいたのだ。
 でも、今年もまた何の痛痒(つうよう)も感じないかのごとくの全国最下位! その責任は子どもにはない。沖縄の親や教育者にあるのだ。
 突然だが、伊プロサッカーの世界に「勝ち癖、負け癖」という言葉がある。負けが続くとそれが癖になって、そこから立ち上がれず永遠に負け続ける、という非情なプロの世界を示唆する言葉だ。沖縄の子どもたちはそんなわなにはまってはいないか。
 勉強は「誰かを負かし」たり「得点順位を上げる」ためにするのではもちろんない。切磋琢磨(せっさたくま)して自らを人間的に向上させるためにする行為だ。だが、学力全国最下位とは、子どもがまさにその勉強を「十分にしていない」ことを意味している。
 グローバル社会の今、勉強をしない子どもは日本国内どころか世界の落ちこぼれになる。沖縄の親や教育者は、少しは厳しさを前面に出して子どもを叱咤(しった)激励し、背中を押すべき時がそろそろ来ているのではないか。
(仲宗根雅則、TVディレクター)