米兵タクシー強盗の被害者へ米が見舞金 拒否から一転


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 2006年に沖縄市で起きた米兵タクシー強盗致傷事件に関する米政府の見舞金支払い遅延問題で、示談書の文言を削除するなら見舞金を支払えないとしていた米政府が方針を一転し、被害者側に支払う意向を28日に伝えた。

同問題では、10月17日に米政府から約200万円を支払うとする示談書が提示された際、被害者側が「日本政府への請求権を放棄する」という文言を削除して署名した。米政府は同30日に「文言を削除するなら、支払い手続きを進められない」と方針を伝えていた。
 被害者側代理人の新垣勉弁護士によると、28日午前に在日米軍から沖縄防衛局を通じて「支払い手続きを進める」との連絡があった。「日本政府への請求権放棄」の文言は削除されたままという。米政府から見舞金が支払われた後、残額は1996年のSACO合意に基づき日本政府が負担する。
 新垣弁護士は「見舞金支払いの見通しが立ち、一応の決着と言える。だが支払いが長期間されなかったことと、示談書で過大な要求をされたことは問題だ」と話した。
 被害者の男性には、21日に防衛省の外郭団体である防衛施設周辺整備協会から「合衆国軍隊事故被害者救済融資事業」による無利子の融資が行われた。
 同協会は、民事訴訟で加害者の米兵2人に裁判所が支払いを命じた損害賠償約2800万円のうち、男性に既に支払われた労災額分を控除した金額を融資した。今後は被害者に代わり、同協会が米政府と日本政府からの支払いを融資の返済として受け取る。