国の辺野古埋め立て申請に不備48件 県環境生活部指摘


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 名護市辺野古への普天間飛行場代替基地建設を進める沖縄防衛局の公有水面埋め立て承認願書に対し、県環境生活部は29日、県土木建築部海岸防災課と県農林水産部漁港漁場課に意見を提出した。「申請書に示された環境保全措置では不明な点があり、事業実施区域周辺の生活、自然環境保全についての懸念が払しょくできない」との結論を出した。

県土木建築部が週明けにも沖縄防衛局や名護市へ送付する追加質問への回答などを除けば、審査に必要な資料が全てそろった。県土木建築部と県農林水産部の審査は早ければ12月下旬にも終了する見込み。埋め立てについて、仲井真弘多知事が年内に可否判断できる環境が整う可能性が高まっている。
 意見は自然や生活環境の18項目48件にわたる。新基地建設に向けた環境影響評価書に対し、県環境生活部と県土木建築部が提出した579件の知事意見を受け、沖縄防衛局が作成した補正評価書を確認した上で、さらに環境保全上疑問の残る点を抜粋して指摘している。
 県環境生活部の當間秀史部長は「環境生活部としてはオール・オア・ナッシング(イエスかノーか)の立場ではない。埋め立て申請書が示した環境保全措置の不明な点を指摘した」と話した。
 意見では県の環境保全施策と埋め立ての整合性が不明であることを指摘した。
 代替施設供用後、多くが米軍の裁量に委ねられた環境保全措置について実施の不確実性を指摘し、実効性のある保全手法を求めた。
 航空機騒音については、オスプレイの騒音測定値などが示されておらず「評価の妥当性が確認できない」と疑問符を付けた。
 県外からの約1700万立方メートルに及ぶ大量土砂の搬入計画についても、外来種混入の影響を懸念し、調査の実施者や時期、手法などを具体的に求めた。
 県土木建築部は週明けにも沖縄防衛局に対して県環境生活部の意見と、名護市長の意見を受けた質問を送付し、見解を求める。県土木建築部の當銘健一郎部長は「質問項目も多く、内容的にも厳しいものがあるので、臨機応変に考えていきたい」と話した。

<辺野古埋め立て申請書に対する県環境生活部意見骨子>
・申請書に示された環境保全措置では不明な点があり、事業実施区域での生活や自然環境保全についての懸念が払しょくできない
・県環境保全指針を前提とした上で、埋め立て事業をどう評価したか示されていない
・「米軍への周知を図る」とする環境保全措置の実効性に不確実性が大きく、担保がない
・オスプレイの騒音測定値や基礎データが示されず、予測・評価の妥当性が確認できない
・事業実施区域はジュゴンの生息域であり、消失の影響が小さいとは言えない
・埋め立て土砂がもたらす外来種の生態系への影響について、調査実施者、時期、手法が示されていない