那覇市議会、「県内」断念を要求 普天間で意見書


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政府に米軍普天間飛行場の県内移設断念を求める意見書案を全会一致で可決した那覇市議会の議員ら=2日、同議会の本会議場

 那覇市議会(定数40、安慶田光男議長)は2日、本会議を開き、米軍普天間飛行場の移設問題について「辺野古沖移設を強引に推し進める政府に対して激しく抗議し、普天間基地の県内移設断念と早期閉鎖・撤去を求める意見書」を全会一致で可決した。

自民党本部が県関係自民党国会議員や党県連に名護市辺野古への移設を容認するよう働き掛けて同国会議員や県連が「県外移設」の公約を撤回して以来、県内移設断念を求める意見書の可決は県内で初めて。那覇市議会による同様の意見書可決は6回目。
 意見書は県内移設断念の要求について「日米両政府はこの県民の総意を無視して、『辺野古移設』を『唯一の解決策』として力ずくで押し付けようとしている」と指摘。「県民は、米軍占領時代から保革を超えた島ぐるみの闘いで、土地取り上げに反対し、祖国復帰を実現してきた。今、求められているのは沖縄のアイデンティティーを貫き、県民の心一つに県民総意の実現へ頑張り抜くことだ」と強調している。
 その上で「政治家に公約変更を迫り、子や孫の代まで米軍基地を強要しようとしている日本政府のやり方に、激しい怒りを禁じえない」と批判している。
 採決の前に市議会会派「自民・無所属・改革の会」(久高友弘会長)の3人と坂井浩二氏(無所属)の計4人は退席した。
 意見書の可決後、翁長雄志市長は記者団に対し「オール沖縄で私も議会も取り組んできた。中央の圧力で県民の分断が図られているところに、市議会が一致した意見書を出したことはありがたい。これからの大きな展開の礎になる」と述べた。意見書の内容を含め、大半の市議が市長と思いを共にしていることに「市長冥利(みょうり)に尽きる」と喜んだ。
 市議会最大会派自民新風会の金城徹会長は意見書の文案作成で心掛けたことについて「県連や国会議員を批判しても互いの理解は深まらない。大事なのは県民が一つになれるかだ」と話した。安慶田議長は「那覇市議会の意思は変わらない」と強調した。
 「自民・無所属・改革の会」は「普天間飛行場の固定化があってはならない。全ての選択肢は排除しない」として退席。坂井氏は「県民にとって何がいいか冷静に判断したいと思った」と退席の理由を述べた。