辺野古見直し提言 沖縄クエスチョン日米行動委


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 【ワシントン12日=島袋良太本紙特派員】有識者でつくる「沖縄クエスチョン日米行動委員会」が12日、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画を見直し、在沖海兵隊約9千人をグアムやハワイ、オーストラリア、米本土に分散・再編するとした報告を発表した。

再編後、沖縄に残る海兵隊の実戦部隊はわずかだと指摘し、埋め立てを伴う大規模な普天間の代替基地は不要だと主張。実戦部隊の本土や太平洋地域を含む巡回配備を前提に、名護市のキャンプ・シュワブ内に小規模ヘリポートを建設する案を提言した。
 委員会は米ジョージワシントン大のマイク・モチヅキ教授、橋本晃和桜美林大大学院特任教授が座長、県の高良倉吉副知事が座長代行を務めている。高良氏は自身の論文では具体案には触れず「沖縄の過重負担をなくし、日本で負担を分け合うことが不可欠だ」と強調した。両座長が米ワシントンで発表した。
 報告は辺野古移設は県民の反対から現実的でないと指摘。モチヅキ氏は滑走路のないヘリポート案に関し、有事の際に九州の既存基地や那覇空港などを海兵隊が利用できれば、大規模な滑走路を新たに建設する必要はないと指摘した。
 また物資を配備する事前集積艦を日本に停泊しておけば、不測の事態に米本国から兵員を飛行機で急派することで、即応能力を落とさずに対応できるとした。
 橋本氏は沖縄を拠点とする即応部隊の第31海兵遠征部隊は、高速輸送船を確保すれば太平洋地域を巡回運用できると説明。「アジア・太平洋の安全保障環境の変化で沖縄のハードパワーの有効性は減少している。基地の移設という従来的視点ではない解決策は、日本政府が目指す動的防衛力の構築にも沿う」と述べた。
 移設の強行や普天間の固定化は日米政府と県民の溝を広げ、結果としてその方が周辺国に「誤ったメッセージを送る」とも述べた。