沖縄戦、心の傷今も ケアの必要性強調


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 沖縄戦・精神保健研究会は14日、豊見城市立中央公民館中ホールで市民公開講座「沖縄戦のこころの傷を追って」を開いた。基調報告やシンポジウムでは、戦後68年を経た今も、沖縄戦による身内の死や戦後の米兵による性暴力被害などで、心の傷が癒えない多くの高齢者がいることが報告された。市民ら約130人が会場を埋めた。

 基調報告で元県立看護大学教授の當山冨士子さんは、沖縄戦体験者を対象に2012年4月から今年2月にかけて実施した心の傷(トラウマ)に関する大規模調査の結果を報告した。
 當山さんは対象者の4割が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症リスクを抱えていると指摘。「沖縄戦を体験した高齢者に対するケアや治療では、トラウマなどを考慮した支援が重要だ」と強調した。
 シンポジウムでは「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さんが登壇。戦後も女性が米兵による性暴力の被害にさらされ続ける現状を「新たな戦争」と位置付けた。「性暴力の被害者や、その結果生まれた子どもは本人に非がないにもかかわらず、苦難の体験を口に出せずに沈黙を強いられてきた」と指摘した。