うちなーぐちで住民救う 元米兵・比嘉さん、沖縄戦語る


社会
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戦争体験を語る比嘉武二郎さん(左)と県平和祈念資料館の功刀弘之さん=4日、北中城小

 【北中城】ハワイで生まれ沖縄で育ち、さらにハワイに戻って米軍として沖縄戦に従軍した比嘉武二郎さん(90)=ハワイ在住=が4日、母校の北中城小学校(当時・喜舎場尋常高等小学校)で講演した。

比嘉さんは元米陸軍情報部(MIS)員として沖縄戦で通訳を担当。日本語とうちなーぐちを駆使して、洞窟などに隠れる多くの住民に投降を呼び掛けた経験を語った。
 比嘉さんは2歳で沖縄に渡り、16歳でハワイに戻った。太平洋戦争勃発後米軍に入隊し、フィリピンのレイテ島と沖縄戦に従軍した。
 比嘉さんは沖縄に上陸後、宜野湾市野嵩周辺の壕に隠れる住民らに向かって、うちなーぐちで投降を呼び掛けた経験を語った。「住民は(自決用の)手りゅう弾を持たされていた」と振り返った。
 戦争終結後、沖縄でこの壕に隠れていたという女性に出会い感謝された。比嘉さんのうちなーぐちを聞いた女性は「壕の外にはウチナーンチュがいるじゃないか」と考え、投降してきたという。このエピソードを披露した比嘉さんは「うちなーぐちを使って何人かの命を救うことができた」と胸を張った。その上で「戦争ほどばかばかしいものはない。皆さんも勉強して、平和のために尽くしほしい」と児童らにエールを送った。
 比嘉さんは5日に帰国したが、北中城村によると、来年6~8月ごろに再度同村に招待し講演をしてもらう計画があるという。
英文へ→Okinawan American veteran used Uchinaguchi to save local residents during the Battle of Okinawa