宮古民謡、次世代へ 教室の枠超えプロ養成強化


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国立劇場での公演に向け練習に励む子どもたち=15日、宮古島市平良

 【宮古島】宮古民謡の次世代への継承を目的に、民謡教室の枠を超えて児童生徒が集って歌を練習し、本島で芸能を専攻する高校生と共演して一つの舞台を創り上げる新たな取り組みが始まっている。「自分がどのくらいのレベルか挑戦したい」。子どもたちはそれぞれの目標を胸に、28日、国立劇場おきなわの“夢の大舞台”に挑む。

 関係者によると、宮古民謡を習う子どもの数は増加傾向にある。だが多くが「一時的な習い事」にとどまり、継続して技芸を磨くことが難しい。
 指導に当たる宮古文化芸能社の平良裕明代表は「本島とは郷土芸能を取り巻く環境が違い、プロとして養成する道筋が弱かった」と離島ならではの課題を指摘する。
 事業は同社が県文化振興会の支援を受けて行うもの。人間国宝も立つ舞台で宮古民謡を披露し、将来像を意識させる。また、伝統芸能を学ぶ南風原高校生との交流や県立芸術大学の見学などを通し、離島では見えづらいステップアップの道筋を描くことを目指す。
 市内で民謡を学ぶ小学生から高校生まで20人が参加、週に1回合同練習している。練習開始は11月からだが、年齢の近い子どもが集まって練習する効果も表れてきた。
 平良美夢さん(伊良部小6年)は「自分より上手な人を見ると、もっと練習しないといけないと思った」と語る。民謡師範になることが目標で「本島でいろんな人と交流し将来に生かしたい」と意気込む。平良代表は「事業は宮古芸能の後継者育成をさらに強化する原動力になる。宮古に限らず離島地域の芸能のプロ育成モデルにもなる」と強調した。
 公演は28日午後5時から、国立劇場おきなわ小劇場で行われる。入場無料。
 問い合わせは宮古文化芸能社(電話)0980(73)0111。