知事、辺野古埋め立て承認 辞任に言及せず


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米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古埋め立て申請の承認を正式に表明する仲井真弘多知事=27日午後3時16分、那覇市寄宮の知事公舎

 仲井真弘多知事は27日、那覇市の知事公舎で記者会見し、政府が米軍普天間飛行場の移設に向け申請した名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認したことを正式に発表した。承認の理由について知事は「現段階で取り得ると考えられる環境保全措置などが講じられており、(公有水面埋立法の)基準に適合していると判断した」と説明し、県民の理解を求めた。

菅義偉官房長官は同日の記者会見で「速やかに準備に入り工事に着手する」と述べた。政府は、来年3月ごろ測量調査を開始する意向だ。知事の承認に県民の反発は高まっており、移設の実現は事実上、困難な情勢だ。
 知事は会見で、普天間飛行場の県外移設を求めていた自身の選挙公約との整合性に関し、「県外の既に飛行場のある場所へ移設する方が最も早いという私の考えは変わらない」とし、公約違反に当たらないとの認識を強調。「辺野古移設を実行するにしても、暫定的だったとしても、考え得る県外移設案を全て検討し、5年以内の運用停止を図る必要がある」と指摘した。
 仲井真知事は「安倍内閣の沖縄への思いはかつてのどの内閣にも増して強い」と述べ、沖縄振興予算の増額や基地負担軽減策などを高く評価した。
 その上で知事は承認の責任を取って辞任する考えはないことも明らかにした。
 埋め立て承認に当たり、県は「実施設計に基づき環境保全対策、環境監視調査、事後調査などについて詳細を検討し、県と協議すること」との留意事項を付けた。
 知事は同日午前、埋め立て申請を正式に承認。県は午前9時40分ごろ、知事の公印が押された承認書を県庁から埋め立て事業者の沖縄防衛局に送達。10時50分ごろ防衛局が受領した。
 安倍首相は同日午後、首相官邸で記者団の取材に応じ「知事の英断に感謝申し上げたい」と歓迎。普天間の5年以内の運用停止など負担軽減策については「知事との約束は県民との約束だ。できることは全てやる」としたが、具体策は示さなかった。
 一方、県議会野党4会派は臨時会開会を請求した。最短で1月9日の開会とみられる。臨時会で仲井真知事の埋め立て承認説明を求める方向で、7日に与野党の各派代表者会議で協議する。