「辺野古代替策ある」 米専門家、移転困難と分析


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ダニエル・スナイダー氏

 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】日米の安全保障問題に詳しい米スタンフォード大アジア太平洋研究センターのダニエル・スナイダー副所長がこのほど本紙のインタビューに応じた。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画について実行は困難だと分析した上で、「現実的な代替策はある」と述べ、高度な政治判断の必要性を前提に、県外移設や在沖海兵隊の大幅削減は可能との認識を示した。
 スナイダー氏は、沖縄返還交渉で当時の国防総省や米軍が核兵器や基地の自由使用権の放棄により「抑止力が減少する」として抵抗したが、返還後も危機は起きなかったと指摘した。
 その上で普天間問題に関し「約50年前と同じ議論をしている。現実的代替策はある。政治的リーダーシップが欠如しているだけだ。抑止力のシグナルを送る場所が沖縄だけである理由はない」と語った。
 日本周辺の危機対応で重要なのは米空軍と海軍だとも指摘し、横須賀などの海軍基地への巡航ミサイル潜水艦や三沢などの空軍基地へのF22、F35戦闘機を配備すれば「沖縄以外の日本国内で抑止力を高めることはできる」と説明した。
 本土の空軍や海軍力の増強で在沖海兵隊の大幅削減は実現できると述べ、普天間の代替基地を沖縄に建設しなくても、数機の固定翼機を既存基地で運用する少規模の即応部隊を置けば、戦略的に機能するとした。
 普天間移設問題に関しては米国内の専門家の間で現行案支持派と見直し派の「2グループが常に存在する」と解説。問題の打開は「政治のリーダーたちにしかできない」と語った。
 スナイダー氏は日米の政府関係者や有識者らの定期会合「日米安全保障セミナー」で長年オブザーバーを務めている。