竹富町教科書「歴史修正の中心」 米紙が日本右傾化懸念


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 米ニューヨーク・タイムズ紙は2013年12月29日付で八重山の教科書問題について「教科書問題、歴史の書き直し求める日本指導者」との見出しを付けた自社署名記事を掲載した。記事は竹富という小さな島が歴史修正主義の「グラウンド・ゼロ(中心地)」にされていると指摘。同問題を引き合いに、戦後の平和主義から民族主義的政策へとかじを切る保守的な安倍政権について「日本の学校教育に一層の愛国主義を加えている」とした。安倍晋三首相の靖国神社参拝と絡め、沖縄を利用した日本の右傾化への懸念を示した。

 竹富町教育委員会は、同じ八重山教科書採択地区内の石垣市、与那国町両教委の採択する育鵬社版とは異なる東京書籍版の中学校公民教科書を採択している。これに対し国は是正を要求している。
 記事では「安倍首相がより強固な国家主義的立場を貫くとき、その超保守主義を和らげることのできる格好の場所として学校の教室が選ばれた」とする高嶋伸欣琉球大名誉教授の言葉を紹介。沖縄戦当時、同級生をマラリアで失った竹富町教育委員会の慶田盛安三教育長が「われわれには未来に戦争の恐ろしさを伝える義務がある」「そっとしておいてほしい。平和の価値を子どもたちに伝えたいだけだ」と話していることも伝えた。(石井恭子)