『ZUCCA×ZUCA(6)』 はるな檸檬著


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一生を棒に振るほどに生きる
 ずっと気にはなっていた。銀座で出くわす、謎の集団。歩道に、10人×3列くらいの塊が、じっとしゃがんで、何かを待っているのだ。まあ、東京宝塚劇場の前だから、おそらく「宝塚ファンがスターを待つの図」だろうな、女性ばっかだし。と思いつつ、近寄ることはなかった。怖いから。

 そんな宝塚オタク、ヅカヲタについて書かれたマンガが話題を呼んでいる。その名も『ZUCCA×ZUCA』。エレガントな表紙とは打って変わって、ゆるいイラストで展開されるのは、宝塚に狂わされた女たちの日常だ。
 夢で、ひいきのスターに無視されガチで落ち込むとか、宙組トップ・大空祐飛の退団を思い「ソーラーパワー!!」って突如絶叫とか、マジ意味わかんない。わかんないけど、いい。すっごくいい。オンナとしての市場価値が一番高いであろう10代後半から30代(推測)っていう一番楽しい時期に、宝塚に情熱傾けちゃってる。そんな彼女たちの姿は一生懸命で滑稽で、すっごく楽しそうで、やたらめったらキラキラしてる。
 一生を棒に振る感じ? 計画も打算もゼロな感じ? 理性じゃどうにもできない感じ? バカだわ~。でも好きだ。大好きだ。人生を狂わされるモノに出会えるって、最高だよね。ちょっとうらやましいもん。というわけで今度宝塚、見に行ってみようと思います。やだ~、あたし、どうなっちゃうんだろう。怖い~っ(ワクワク)。
 (講談社 943円+税)=アリー・マントワネット
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アリー・マントワネットのプロフィル
 アリー・マントワネット 出版社でOLをしつつ、ライターとしても細々と稼働中。ファッション、アイドル、恋愛観など、女性にまつわる話題に興味あり。尊敬する人物は清水ミチコ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。
(共同通信)

ZUCCA×ZUCA(6) (モーニングKCDX)
はるな 檸檬
講談社 (2013-12-20)
アリー・マントワネット