野党、知事の辞任を要求 「公約違反」と追及


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
県議会臨時会で米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て承認の理由を説明する仲井真弘多知事=9日午前、県議会

 仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て承認を受け、県議会野党会派の請求による臨時会での緊急質問が9日行われた。承認判断について仲井真知事は「法の基準に適合しており、反対意見を勘案しても総合的に承認せざるを得ない」と説明。「県民の思いや政治的理由などで不承認とするのは裁量の範囲を逸脱する可能性がある」と述べ、行政手続きとして承認したとの考えを強調した。

一方の野党側は知事が掲げてきた県外移設の選挙公約に反すると批判し、公約撤回の責任を取って辞任すべきだと要求。10日に辞任を求める決議の提案に踏み切る構えだ。
 仲井真知事は昨年12月に政府に要望した「普天間の5年以内の運用停止」の実現に向け、県外への普天間の基地機能移転を求めると説明。その上で「辺野古がいつ完成するか分からないが、(県外に移された)ある種の機能がかなり戻ってくるのは当然予想される」と述べ、普天間の基地機能が県外に移された場合でも、最終的な辺野古移設は容認する考えを示した。
 承認が県外移設公約に反するとの指摘には、「これまで辺野古移設に反対とは言ったことはない」と繰り返した。その上で「辺野古は時間がかかる。一日も早い危険性の除去は県外移設でしかできない」と述べ、県外移設の公約は取り下げていないと反論した。
 當銘健一郎土木建築部長は辺野古に建設される基地に米海軍強襲揚陸艦ボノム・リシャールなどが接岸する軍港機能が整備されるとの指摘に対し、「係船機能付きの護岸を整備しているのでボノム・リシャールが接岸できる可能性はある」と認めた。その上で「米軍は恒常的に兵員や物資の積み降ろしをする軍港の建設は考えていないとしている」と述べ、軍港機能は有しないとの見方を示した。
 住民の反対運動で移設工事が中断する可能性に関して知事は「これは優れて防衛省の仕事だ。(同省が)きちっと自覚と責任を持ち、やるしか解決の道はないのではないか」と述べ、政府の責任で移設を実施すべきだとの認識を示した。