押し付け連鎖断て 辺野古で討論会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
普天間飛行場の移設問題などで議論を交わす登壇者=10日夜、名護市民会館

 日米外交の政策提言を行うシンクタンク、新外交イニシアティブ(東京)のシンポジウム「普天間基地返還と辺野古移設を改めて考える」が10日夜、名護市民会館で開かれた。

 防衛省出身で元内閣官房副長官補の柳沢協二氏は、軍事的に台頭する中国に対し、在日米軍を「抑止力」とする議論について「ラッシュ時に人々が一斉に同じ方向に進むような摩擦はあるが、お互い相手を滅ぼさなければ生存できないという脅威はない」と表現。「単純に米軍がいれば抑止力だという物語はもはや成り立っていない」と述べた。
 その上で抑止力としての海兵隊の役割を疑問視し、普天間飛行場の県外移設について「(可能とする)軍事的条件はある。県民の利益のために実現するのが政治の役割だ」と述べた。
 普天間ではなく、名護市辺野古に基地を置くという発想に関しては「思考の構造は(復帰前に)本土で反基地闘争が激しくなり、沖縄に基地が集約されたのと同じ。抵抗が少ない所に問題を押し付けるサイクルをやめない限り、沖縄は基地の中で暮らしていかなければならない矛盾から抜け出せない」と述べた。
 前泊博盛沖国大教授は「全国同じように地方交付税や国庫支出金がある。当たり前にもらえるお金であり、なぜ沖縄だけ基地と引き換えにしかもらえないとされ、どう喝されないといけないのか」と指摘した。
 ジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ教授は海兵隊の戦略に関して「長期的にはほとんどがグアム、ハワイ、米本土に配備される。沖縄に本格的な恒久基地を置く必要はない」と指摘した。
英文へ→New Diplomacy Initiative hosts symposium on the Henoko issue at Nago