末松、稲嶺氏が激突 名護市長選、2氏届け出


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(左から)出陣式で第一声を発する末松文信氏=12日午前、名護市城、出発式で第一声を発する稲嶺進氏=12日午前、名護市大中

 【名護市長選取材班】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題が最大の争点になる名護市長選が12日告示され、届け出順に、移設推進を訴える無所属新人で前県議の末松文信氏(65)=自民推薦=と、移設阻止を主張する無所属現職の稲嶺進氏(68)=社民、共産、社大、生活推薦=の二人が立候補を届け出た。

市長選の結果が普天間移設問題の行方を大きく左右することから激戦が予想され、全国的な注目を集めている。19日に投票、即日開票される。
 日米両政府が1996年に普天間の返還に合意して以降、5度目となる市長選。初めて候補者が「推進」と「阻止」の対立軸を明確にして争う選挙となる。
 移設問題をめぐっては仲井真弘多知事が昨年末、政府の辺野古埋め立て申請を承認。だが県外移設を公約に掲げる知事の承認判断に対し、県議会は10日、辞任を求める決議を賛成多数で可決した。政府が移設手続きを進める中、辺野古移設の是非に対する名護市民の審判があらためて示されることになる。
 末松氏は同市城の選挙事務所前で出陣式を行い、「名護市の将来を決定付ける大変重要な選挙だ。普天間飛行場の代替施設について知事や政府と連携しながら、これを機会に決着したい。名護市を正常に戻し、新しい名護市づくりに取り組みたい」と強調した。
 稲嶺氏は同市大中の選挙事務所前で出発式に臨み、「名護市、沖縄県の未来を決する戦いだ。同時にわが国の民主主義を問う一大決戦となる。新基地は海にも陸にも造らせないという4年前から始まった流れを、取り戻す覚悟と気概が求められる」と訴えた。
 名護市の選挙人名簿登録者数は11日現在で4万6665人(男性2万2882人、女性2万3783人)。
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末松文信候補/受け入れで決着を
 市の将来を決定付ける重要な選挙だ。受け入れを容認した普天間飛行場の代替施設について、県や政府と連携して長い間取り組んできたがこれを機会に決着したい。名護市を正常に戻し、新しい名護市づくりに取り組む。
 選挙はやんばる、県、国、政府も大変注目している。やんばるの地域活性化を図ることはもとより、県において克服しなければならない米軍基地の整理縮小、普天間飛行場の危険性の除去、嘉手納以南の基地返還の跡利用が命題となっている。
 知事の辺野古埋め立て承認は、このような背景があり、英断に厚くお礼を申し上げる。普天間の辺野古移設が一定の決着を見たと思っている。政府が事業を着実に進めることを期待し、私も協力する。
 市は人口が増えず、経済的な低迷が続いている。この状況を打破するためにスエマツビジョンを掲げた。その実現を裏打ちする財源は知事や首相から全面的に支援するとエールを受けた。市を変えるために力を貸していただきたい。名護市が動きだす。
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稲嶺進候補/負の遺産残さない
 今回の選挙はわが名護市の未来、そしてわが沖縄県の未来をも決する戦いだ。同時に、わが日本の国の民主主義を問う、一大決戦となる。4年前、辺野古の海にも陸にも新しい基地を造らせないということでスタートした。それがオール沖縄の意思となった。いま一度それをリードし、新たな決意を示す気概、覚悟が求められている。
 この4年間、役所の職員や多くの市民、支持者の後押しを得て、再編交付金がなくても市民サービスに応えられる行政ができた。
 基地の問題、生活の問題、農業、産業の問題など全ては子どもたちの未来のために、全ては未来の名護市のために、というスローガンに込められている。
 名護市民の誇り、沖縄県民の誇りをあらためて示す戦いになる。
 そして、ウチナーンチュのアイデンティティーを日米両政府に突き付け、自らの力で街づくりを進める。未来の名護市に負の遺産を残すのか、きっぱりノーを突き付けるのか。未来に大きな希望を託し、勝ち取ろう。