八重山教科書 竹富分離は「不適切」 国、県に回答へ


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 【東京】八重山教科書採択地区内で使用する中学公民教科書が一本化されていない問題をめぐり、県教育委員会(宮城奈々委員長)が文部科学省に対して同一の意見を持つ市町ごとの採択地区分割について見解を求めたことに対し、文科省は「不適切」と回答する方針を16日までに固めた。さらに、あらためて「竹富町は教科書無償措置法に反しており、早急に是正要求を行うべきだ」と指導した上で、県教委が指示に従わない場合は県教委と竹富町の双方に是正要求することも検討する。

 文科省教科書課は本紙の取材に対し、採択地区分割について「市と郡を分割することは法的には可能だ」とした上で(1)共同採択が法制化された背景は、独自で調査研究ができない規模の小さな自治体の負担を減らすことにある(2)採択地区を分割すれば十分な調査研究ができなくなる恐れが出てくる―などとして、「不適切だ」との見解を示した。
 竹富町を石垣市、与那国町から分離させることについては「石垣市と八重山郡を切り離すことは理論上は可能だ。だが、竹富町や与那国町が単独で十分な調査を実施できるのか」と指摘し、竹富町のみを分離させることには否定的な見方を示した。
 竹富町のみの採択地区とするには、知事が議会の議決を経て竹富町を八重山郡から新たな行政区分に組み入れる必要がある。
 県教委が「竹富町で教育の機会均等は阻害されていない」として、是正要求は不必要との認識を示したことに対して、文科省は「教科書無償措置法に違反している事実があり、これまで指導してきた文科省の姿勢は変わらない」と強調した。さらに竹富町に対して早急に是正要求を行うよう求める方針だ。
(松堂秀樹)