名護市長選、稲嶺氏再選 辺野古移設を拒否


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 【名護市長選取材班】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題が最大の争点となった名護市長選は19日に投開票され、移設の阻止を訴えた無所属現職の稲嶺進氏(68)=社民、共産、社大、生活推薦=が1万9839票を獲得し、移設推進を掲げた無所属新人の末松文信氏(65)=自民推薦=に4155票差をつけ大勝した。

日米両政府が進める辺野古移設に、名護市民があらためて「ノー」の審判を示した。市長権限を最大限に使って阻止すると明言する稲嶺氏の再選で、辺野古移設は事実上困難となり、安倍政権に大きな打撃となった。
 今回の市長選は移設問題で候補者の主張が「阻止」「推進」と初めて明確に分かれて争われた。安倍政権が移設作業を強権的に進めようとする中、国の埋め立て申請を承認した仲井真弘多知事の判断も含め、名護市民は移設拒否の意思を示したと言える。
 埋め立てを承認した知事に対しては県議会が10日、辞任要求決議を可決している。知事は市長選で移設推進の末松氏を支援していたが、結果を受けて今後の求心力低下は必至だ。11月予定の知事選を前に県内政局の流動化も予想される。
 稲嶺氏は1期目から「海にも陸にも基地は造らせない」と主張。今回の選挙戦では「自然を守るため、未来の子どものために」と新基地建設反対を訴え、革新勢力や無党派、女性に支持を広げた。6次産業化の推進や教育・福祉面での施策など4年間の実績もあり、一部保守層も取り込んだ。
 末松氏は政府・自民党本部、知事の応援を得て、移設推進による再編交付金や北部振興事業の獲得・増額による市民福祉向上を訴えたが、届かなかった。
 名護市の当日有権者数は4万6582人(男性2万2832人、女性2万3750人)。投票総数は3万5733人で投票率は4年前の前回並みの76・71%だった。有効投票数は3万5523。無効票は210。

市民の良識示した
 稲嶺進氏の話 市民の良識を示していただいた。ご支援、ご支持が日ごとに高まり全身で受け止めた。本当にありがとう。知事は辺野古埋め立てを承認したが、市長として市民の安心、安全、財産を守る責務を果たすべく、先頭に立つことを約束する。
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 稲嶺 進氏(いなみね・すすむ) 45年7月17日生まれ、68歳。名護市三原出身。琉球大卒。72年名護市役所入り。総務部長、収入役、教育長を歴任。名護市体育協会事務局長、理事長も務めた。10年1月の市長選で初当選。

名護市長選で再選を果たし、支持者らと万歳三唱する稲嶺進氏(中央)=19日午後9時41分、名護市大中