石垣市 ヤシガニ保護 条例化へ 期間決め、雄のみ捕獲


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ヤシガニの保全、活用策について協議するヤシガニ条例検討協議会委員=16日、石垣市役所

 【石垣】世界的に生息数が減少しているヤシガニの保護と持続的な活用を目的に、石垣市が「ヤシガニ保護条例」の制定に着手した。16日、官民で構成する条例検討協議会を設置した。

ヤシガニの捕獲期間を限定する「解禁期間」の設定や、島外への移出入を原則禁止する流通・監視体制の構築など、先鋭的な条例を目指し協議を進める。条例は罰則も設ける予定だ。
 同様の条例は多良間村、宮古島市も策定しているが、両市村の条例は繁殖期間となる夏場の捕獲を禁止し、その他の期間は捕獲できる。移出入の制限も設けていない。
 石垣市が検討するのは繁殖を終えた9~11月の「解禁期間」に限定して捕獲を認める案。捕獲できる期間を狭めることでヤシガニの保護を手厚くする。捕獲の解禁期間を設けている生物は世界的にも珍しいという。
 ヤシガニは冬季に土の中に入り、出てきたころには痩せているが、夏の繁殖を終えた9月以降は可食部が多く、みそにうまみが増す。この旬の期間を「解禁期間」とすることで、石垣島産ヤシガニのブランド化も狙う。
 捕獲するのは雄に限定し、卵を産む雌は禁止する予定。雄も小型と大型の捕獲を禁止し、飲食店での利用が多い中型のみ捕獲を認める予定だ。
 島外への移出入制限は石垣島以外での乱獲防止が目的。石垣島で捕獲が制限されると、不足分を補うため竹富町や宮古島など近隣の島で乱獲が予想されるが、移出入を禁止することで防止する。
 飲食店での利用もライセンス制で制限する予定。現在、ヤシガニは捕獲者が直接、飲食店に販売しているが、仲買の「窓口業者」を設け流通を監視する案も検討する。営利目的でない島民の自家消費は制限しない。
 協議会の委員に入った独立行政法人西海区水産研究所亜熱帯研究センターの佐藤琢研究員は「解禁期間を設けることで注目され、ブランド化につながる。流通監視体制をとれば他島のヤシガニの保護にもつながる。かなり前衛的な条例になると思う」と話した。