辺野古きょうにも入札公告 国、早期着工へ


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 【東京】菅義偉官房長官は20日の記者会見で、名護市長選で米軍普天間飛行場の辺野古移設を阻止すると明言する現職の稲嶺進氏が再選されたことについて「名護市長の権限は限定されている」とけん制し、移設作業を進める考えは変わらないと強調した。

政府は21日にも代替基地建設に伴う調査や仮設施設設計に関する入札公告を実施し、早期着工へ手続きを進める方針だが、稲嶺氏は強く反発している。政府は市との摩擦を避けるため、事前協議が必要な工事内容の一部を変更することも検討している。
 政府の入札公告実施方針について稲嶺市長は20日、「選挙で示された名護市民の民意を無視して手続きを進めるのは民主主義社会としてあり得ない。あまりにひどい」と述べ、政府の動きを厳しく批判した。さらに稲嶺氏は今回の市長選は辺野古移設の「阻止」か「推進」かが問われていたことを挙げ、「前回の選挙よりも(移設容認派との)差が開いている。今回の結果が、市民が思っていたことだ」と指摘した。
 政府は辺野古移設に向けて3月までに調査を始め、2015年春の埋め立て工事着手を目指している。
 ただ稲嶺氏が市長権限を行使してでも移設を阻止すると表明したことから、市管理の漁港に設置予定の移設用の資材置き場を他に移すことなどを検討している。
 菅氏は会見で移設に強く反対する稲嶺氏が再選されたことに関し「埋め立て権限は県にあり、仲井真弘多知事から承認を頂いた。支障は生じない。法的手続きに基づいて淡々と進める」と表明。「普天間の危険除去、固定化を避けるために唯一の解決策だ」と述べ、辺野古移設を再考する考えがないことを強調した。
 小野寺五典防衛相は稲嶺氏の再選について「地方の選挙なので、移設問題に直結するとは考えていない」との見解を示し、「(知事の)埋め立て許可を重く受け止め、着実に進めていきたい」と述べた。
 一方、自民党の石破茂幹事長は記者団に「丁寧に説明しながら着実に進める」と、政府与党の移設方針を変えない姿勢を示した。市長選で移設推進派候補の応援演説で述べた500億円の名護振興基金構想については「稲嶺市長から言及がない以上は、国がこうだ、という話ではない」と述べ、見直す考えを示した。