那覇の孤立死、10ヵ月で93人 65歳以上7割、若年も増


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2013年の1月~10月末までに那覇市内で孤立死した人は93人(男性66人、女性27人)に上り、ほかにも孤立が原因とみられる自殺者が16人いたことが25日、分かった。孤立死と、孤立が原因とみられる自殺者はそれぞれ、10年は86人(男性58人、女性28人)と18人、11年は95人(同71人、24人)と14人、12年は91人(同65人、26人)と14人だった。

孤立死などを防ぎにくい理由として、市の関係者は、個人情報保護法が壁となり、地域の見守りの対象となるべき独居高齢者の所在や実態が把握しにくい現状を挙げている。
 那覇市社会福祉協議会の山城章地域福祉課長が那覇署や豊見城署(小禄地区)に聞き取りして分かった数を、市内で開かれたシンポジウム「命を守る自治会活動の実践」で明らかにした。
 この調査での「孤立死」の数は、一人暮らしで死後24時間以上たってから発見されたケースで、那覇署と豊見城署が那覇市内で扱い、事件性はないと判断した遺体の数を表す。地縁・血縁者とのつながりがなく、完全に孤立した人のほか、家族が時々見回りに来る人なども含まれる。
 山城課長によると、孤立死のうち65歳以上は約7割と多いが、30代~40代の若年独居世帯も増えている。多くが病死で、近隣住民が異臭を感じて見つかった件がほとんどを占める。発見が遅れ、死後120日ほどたった人もいたという。山城課長は「背景の分析までできていないが、かなり多いという実感がある」と話した。
 25日のシンポに登壇した自治会や民生委員関係者、フロア参加者は一様に、個人情報保護法が壁となり、見守りの対象となるべき独居高齢者の所在や実態が把握しにくい現状を指摘した。山城課長によると、那覇市などの自治体は今後、災害時に家族などの支援が困難な「災害時要援護者」の対象を、65歳以上の独居高齢者や介護保険を利用する全ての在宅生活者らに拡大していくという。その台帳を自治会や民生委員が活用できれば、要支援者把握と個別の見守り訪問強化などにつなげることができ、孤立死を防ぐ効果が期待できるという。
(石井恭子)