石垣市と岩手県北上市が友好締結 種もみ交流20年が縁


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握手を交わし友好都市提携を喜ぶ中山義隆石垣市長(右から2人目)と高橋敏彦北上市長(同3人目)=25日、石垣市民会館

 【石垣】石垣市は25日、岩手県北上市と友好都市提携を締結した。岩手県が大冷害に見舞われた1993年、壊滅状態だった同県の種もみを石垣島で増殖したのをきっかけに20年間続いている交流関係が新たな節目を迎えた。北上市の高橋敏彦市長らを迎え、石垣市民会館で行われた締結式では、両市の関係者が交流の発展を誓った。

 中山義隆石垣市長は「民間が積み上げた交流を、今後は行政が支援し事業を広げていきたい」と決意。「石垣に新しい家族が増えた」と締結を喜んだ。
 高橋敏彦北上市長は「東日本大震災の復興に当たり、石垣市からは義援金や芸能団体の慰問公演など多くの支援をもらった。友好都市の提携でこれまで培われた親善が一層深まり、新たな交流が創造されると思う」と語った。
 種もみ増殖事業は他県の農家に増殖を依頼する前例のない事業だったが、岩手県の技術指導と石垣島の農家の協力で成功した。増殖した2品種は冷害の翌年の94年、「かけはし」「ゆめさんさ」と命名され、岩手県と石垣市の交流は「かけはし交流」として定着した。
 「石垣島マラソン」と「いわて北上マラソン」へは毎年、相互に選手団を派遣。八重山高校と盛岡第四高校は相互ホームステイ事業で親睦を深めるなど民間交流が続いている。
 東日本大震災の際には「石垣・岩手かけはし交流協会」が中心となって岩手県への義援金を募った。八重山高校の父母らでつくる「八重盛48の会」も炊き出しを行い、被災地支援に尽力した。
 これまで石垣市と岩手県の交流だったが、種もみ増殖事業から20周年を迎え、岩手県内で交流拠点となる都市と友好都市の締結を模索。増殖事業時の岩手県農政部長で、交流発展に尽力した故・高橋洋介氏の出身地であり、マラソン交流もある北上市と友好都市を結ぶことになった。