住民の見守り徹底、孤立死ゼロ実践紹介 命を守る自治会活動シンポ


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佐藤良子さん

 那覇市民会館中ホールで25日に開かれたシンポジウム「命を守る自治会活動の実践~東京都立川市大山自治会から学ぶ」(那覇市自治会長会連合会主催)では、家族や地域の絆が崩れて社会的孤立者や孤立死が増えている現状が問題視された。その一方で、個人情報保護法が壁となって自治会や民生委員が独居高齢世帯などの孤立者の実態をつかめないジレンマも叫ばれた。

 自治会加入率100%、8年間孤立死ゼロを続ける立川市大山団地(住民4千人、1600世帯)の佐藤良子自治会長は基調講演で「行政だけに頼らず自立する自治組織こそが災害や困難に強い」との信念を語り、一人一人の住民をはじめ住民自治を支える同志や住民ボランティアが財産だと強調した。
 大山自治会の孤立死ゼロ対策には、住民との粘り強い交渉による徹底した住民名簿作成や独居者の親族との連携、住居の両隣の住民による見守り、電力などのライフライン企業との検針や集金時の見守りがある。
 自治会長に就任して15年、孤立死や児童虐待、迷惑行動のある問題住民など数々の困難に出合いながら高齢者や児童の見守り、母親支援などを進めてきた。地域巡回や枝下ろしなどの住民ボランティア登録は412人に上る。相談窓口は24時間対応し、自治会葬も行う。佐藤会長は「皆が一生住み続けたい場所をつくる」と力を込めた。
 シンポでは、県内の独居高齢世帯が10年前と比べて1・5倍に急増、65歳以上が人口の21%を超える「超高齢社会」の到来が数年後と予測されることが報告された。一方で、那覇市の自治会加入率は下がり続け、2013年には20・9%に落ちたという。孤立死防止などの問題の解決に向け、自治会や民生委員、各機関の連携強化や情報を共有することを確認した。