辺野古埋め立て外来種侵入 国際機関に助言要請へ


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 沖縄・生物多様性市民ネットワークなど県内外33の環境、平和団体は27日にも、国際自然保護連合(IUCN)侵略種専門家委員会に対し、政府が進める辺野古埋め立て計画で懸念されるアルゼンチンアリなど侵略的外来種の県内侵入と拡散に対する保全策などの助言を求める。

沖縄防衛局が示す外来種対策や環境影響評価書を受け「環境保全は不可能」と結論付けた県が、最終的に埋め立て申請を承認した非科学性を訴える。外来種に弱い島嶼(とうしょ)生態系の生物多様性を脅かす埋め立てについて、国際社会の認識を喚起する。
 埋め立て計画では、2100万立方メートル必要な土砂のうち、1700万立方メートルを県外から持ち込む。要請では土砂採取予定地の一つの山口県周辺で繁殖が確認されているアルゼンチンアリの侵入、コウジカビやセラチア菌混入によるサンゴへの悪影響などについて、強い懸念を伝える。
 大量の土砂が持ち込まれる辺野古や大浦湾について、環境省がユネスコの世界自然遺産候補地に定めた国頭、大宜味、東村から20キロしか離れていない事実を指摘する。IUCNは世界自然遺産候補地の国頭3村を審査する組織でもあり、今後の回答が注目される。
 多様性ネットの吉川秀樹氏は「県や防衛局が十分に専門家の意見を聞いていないという疑問が常にある。埋め立てはどう考えても問題を含んでいる」と指摘する。
 県内外の環境団体はこれまで辺野古周辺に生息する絶滅危惧種ジュゴン、ヤンバルクイナやノグチゲラの保全をIUCNに要請。IUCN総会は保全勧告を3回(2000年、04年、08年)決議した。勧告は4年に1度のIUCN総会で取り扱われ、次回総会の開催は16年となる。辺野古の現地調査が3月にも始まる事態の緊急性から、委員会への指導・助言要請となった。(石井恭子)