中国古箏、琉球と融合 伍芳の世界


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 箏の音が中国と琉球の交易の歴史を奏でる。中国古箏奏者の伍芳(ウー・ファン)と琉球芸能の若手実演家が共演する公演「伍芳の世界」(県南部連合文化協会創立20周年記念公演)が26日、南城市文化センター・シュガーホールで開かれた。しなやかに調和する中国古箏と琉球箏の音。ルーツを同じくする二つの楽器が奏でる旋律に乗り、双方の音楽と文化が融合する華やかな舞台を繰り広げた。演出は富田めぐみ、舞台監督は猪股孝之。

 伍は上海音楽学校を首席で卒業後、来日。現在は神戸を拠点にコンサートやテレビ、ラジオなどに出演。さまざまなジャンルのアーティストと共演している。中国古箏は日本の琴や琉球箏のルーツとされる。伍は21本の弦を持つ古箏を、タイマイで作った義爪をつけて演奏した。
 第1部は嵐を体現するダイナミックな「戦台風」などオリジナル曲を独奏。ピアノは林正樹が奏でた。19年前に神戸に留学中、阪神大震災で亡くなった姉を思って書いた「彩虹橋」などのほか、松任谷由実の「春よ、来い」など広く知られた曲も演奏した。
 第2部は琉球芸能との共演。「彝(イ)族舞曲」(王恵然作曲)で舞踊の知花小百合、新里春加、大城一咲と共演。みずみずしい舞とのコラボレーションに客席から拍手がわいた。琉球民謡「加那よ~天川」と「じんじん」も古箏との合奏。地謡は大城貴幸、與儀朋恵、瀬良垣幸男、池間北斗。
 最後はこの公演のためにみやぎたかお(宮城鷹夫)が作詞、伍が作曲したオリジナル曲「古箏のしらべ」を演奏。伍は地謡のメンバーの演奏に支えられ、歌声も聞かせた。
 曲の後半には客席の手拍子も加わり、来場者と合唱。終盤の歌詞にある〈文化の華が交ざり合う/古箏のしらべ 虹の橋〉という言葉に表される通り、会場が一体感を分かち合って幕を下ろした。(宮城隆尋)

伍芳(左端)と共演する琉球舞踊、古典音楽の若手実演家たち=26日、南城市文化センター・シュガーホール
オリジナル曲から民謡まで幅広い演奏を聞かせた中国古箏奏者の伍芳(ウー・ファン)