基地ある日常「変だ」 来月2日、古蔵中26人が音楽劇


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総合演出を手掛ける安田辰也さん(右端)の指導の下、練習に励む古蔵中の生徒たち=23日、那覇市古波蔵の同校

 那覇市立古蔵中学校の生徒26人が、広大な米軍基地を抱える沖縄の「日常」を描いた音楽劇「フェンスに吹く風」の上演に挑み、基地問題の不条理を訴える。2月2日の本番に向け日々、稽古に励む生徒らは「基地問題を初めて考えるようになった」と語り、真剣な表情を見せる。脚本を手掛けた同校の又吉弦貴(つるき)教諭は「沖縄の将来を背負う中学生が、彼らの目線で捉えたフェンスの在り方を伝える。ぜひ多くの人々に見てもらいたい」と呼び掛けた。

 この劇の上演は2012年8月、本土復帰40周年を記念し県内中学生でつくる沖縄選抜演劇団が全国中文祭で初めて演じて以来2度目で、県内上演は初めて。
 生徒が劇で演じるのは、学校上空を飛び交う軍用機のごう音に慣れ、基地のフェンスを当然のように受け止める中学生や大人たち。東京から転入生が来たことをきっかけに、徐々に基地を「変だ」と思い始める。
 「大切なものは減っていくけど/いらないものはなくならない/島にある現実/それって変じゃないかな」。残り続けている基地と、消えゆくしまくとぅばを対比させてこう歌う。
 城間光(ひかり)さん(14)=3年=は上演に向け普天間基地周辺を実際に歩いた。民家のすぐ近くにあるフェンスは想像より高く、有刺鉄線の針はこちら側を向く。そこに「隔たり」を感じた。「しっかり行動できる大人になれるよう問題意識を持ち続けたい」と語った。
 「沖縄には土地を分断するフェンスが日常化した特異な状況がある」と話す又吉教諭は県民の間にも分断を見る。
 県内全市町村長が普天間基地の県外移設などを求める建白書を首相に提出してから28日でちょうど1年になる。劇で使われるしまくとぅば「片手(かたでぃー)さーねー音(うと)ー出(ん)じらん(片手だけでは音は出ない)」を挙げ「多くの人が力を合わせれば、できないことはない。基地をなくすため手を取り合うことが重要だ」と話し、沖縄が一つになる大切さを訴えた。
 上演会は2月2日午後3時から那覇市民会館大ホールで開かれる。入場無料。(内間安希)