年金削減「中止を」 県内で不服審査請求618人


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年金削減に反対し、全日本年金者組合沖縄県本部が開いた集会=30日、那覇市の県民広場

 2015年4月にかけての年金2・5%引き下げやその後の継続的減額に反対し、全日本年金者組合沖縄県本部(吉田務委員長)が行政不服審査請求に向けて募った請求人が30日、618人に達した。

県本部役員らは同日、審査請求書を日本年金機構那覇年金事務所に提出した。那覇市の県民広場で同日開いた集会には請求人ら約50人が参加し、低年金や無年金者の暮らしを守ろうと異議申し立ての声を上げた。全国でも取り組まれ、審査請求者は11万人を突破。年金の“終わりなき削減”や4月に控える消費税増税に、高齢者が怒りを突き付けた。
 県本部の当初目標は会員数分の約500人だったが、昨年12月に請求への参加を呼び掛けた会見が新聞で報じられると、100人を超える一般からの問い合わせが寄せられた。最終的に618人もの請求人が集まったことに、吉田委員長(67)は「年金の闘いのみならず、社会保障運動の中でも特筆すべき出来事だ。4月から消費増税も始まり、ますます生活の負担は増える。大きな国民運動の始まりにしよう」と訴えた。
 老齢基礎年金と遺族年金を足して月7万円ほどで一人暮らしする那覇市内の女性(69)は、請求人として名を連ねた。家賃や生活費を支払うと「後は食費を削るしかない」とつぶやく。生活保護を受ける親類の支援もしており「まだ健康だからどうにかなるが、もし病気にでもなったら大変だ」と不安を口にした。
 組合県本部那覇支部長の仲松泰子さん(78)は「会員以外の問い合わせも多く、普段はどこに怒りを表していいのか分からずにワジワジーして(怒って)いる人がたくさんいると感じた」と話した。県本部は各地で年金についての勉強会なども開く。問い合わせは(電話)098(859)2110。