養護施設や里子ら支援 車免許費10万免除


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 児童養護施設や里親家庭、ファミリーホームで暮らす青少年の自立を支援しようと、普通自動車の運転免許取得費用の一部免除が県内で4月1日から始まることが30日、分かった。県内21カ所の教習所でつくる県指定自動車学校協会(小渡亨会長)と県が協定を結び、各教習所が1人当たり10万円を免除する。

養護施設だけでなく、里親家庭やファミリーホームまで免除対象を拡大した制度は全国でも例がなく、先駆的な取り組みとして注目を集めそうだ。
 県児童養護協議会の玉城孝会長(島添の丘施設長)は「車社会の沖縄では運転免許がないと就職の選択肢が狭まる。免許費用を捻出するため、部活動を辞めてアルバイトする子どもたちもいた。費用免除は、大きな後ろ盾になる」と歓迎している。
 県里親会の比嘉朝文会長は「行政や民間企業に感謝したい」と述べた。
 県は免除対象者を年間30~40人と想定。免除総額は年間最大400万円程度になる見通しだ。
 県指定自動車学校協会と県は一部免除に関する協定書を2月4日に締結する。同協会によると、免許取得費用は通常24~25万円かかる。現行制度では、国が施設や里親家庭などに支給する「資格取得特別加算」5万5千円が免許取得費用にも充てられているが、十分な額ではなかった。
 これまで子どもたちは高校に通いながらアルバイトをして費用をためたり、里親が費用を工面したりする現状があり、免許費用への支援が長年の懸案となっていた。県青少年・児童家庭課が昨年2月に同協会に一部免除を働き掛け、協議を続けてきた。
 同協会は昨年12月に開いた代表者・管理者会議で免除制度の導入を決めた。原則として、1教習所当たり年間2人を受け入れる。免除は毎年継続する。同協会の下地一彦専務理事は「県から子どもたちを取り巻く環境の厳しさを聞き、少しでも支援がしたかった。地域に密着して社会に貢献したい」と話している。(高江洲洋子)