合成樹脂コンクリート販売へ 県内初導入


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県内初となるレジン(合成樹脂)コンクリートの製造施設を説明する大和コンクリート工業の小橋川健常務=29日、うるま市の本社工場

 各種コンクリート製品の製造・販売を手掛ける大和コンクリート工業(うるま市、豊里友彦社長)は2月から、原料にセメントではなくレジン(樹脂)を使う県内初の合成樹脂コンクリートの製造・販売を始める。

従来のセメントコンクリートより機械的強度が3~5倍高く、補強用の鉄筋は不要で塩害にも強い。成型後の養生期間も短くて済み、即納性にも優れるという。
 同社は、県内の下水道管用のコンクリート加工品を主に製造。近年は下水道の整備進展に伴い需要が減少し、新たな主力商品を模索していた。2月中旬以降、電線地中化の共同溝として沖電工(那覇市)に納品する。レジンコンクリートを新たな主力商品と位置付け、今後は住宅建材としての展開も視野に入れる。
 レジン製品は、従来のセメント製品と砂やバラスなどの骨材は同じ。セメント製は水とセメントで結合させるが、レジン製は水は一切使わないため、全く別の製造ラインが必要となる。
 セメント製と比較して、はりなどの材料に重要な曲げ強度で約5倍、圧縮強度は3~4倍、引っ張り強度は3~5倍高い。高強度からセメント製より薄く造れ、水を寄せ付けないため塩害からも守れる。1立方メートル当たりの価格はレジン製が高いが、薄造りが可能で製品の形状によっては安くできることもあり一概には比較できないという。
 県外からレジン製の電線共同溝を取り寄せていた沖電工が県内産のレジン製を求めていたことから、大和コンクリートは2012年末からレジン製造の研究に着手した。電線共同溝の製造を手掛けるサンレック(東京)と技術指導契約を結び、広島の工場に職員を派遣して実務研修を積んできた。同時に施設整備も進め13年10月末に完成した。現在、型枠が完成し試作品を製造している。
 小橋川健常務兼工場長は「沖縄ではどこもやっていない新技術で、塩害対策など沖縄の地域特性にも合っている。共同溝のほかの別製品へも応用できるのではないか。先行投資して県内のトップランナーを目指したい」と新商品開発に期待をかけている。
(滝本匠)