健康食品でハラール取得 八重山殖産が県内初


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ハラール証明書を手に販路拡大に意欲を見せる八重山殖産の浅井康史常務兼工場長=1月31日、石垣市白保の本社工場

 健康食品製造・販売の八重山殖産(石垣市、志喜屋安正社長)は、同社が生産する微細藻類のクロレラとユーグレナ(和名・ミドリムシ)について、イスラムの戒律に従って生産された「ハラール」の認証を取得した。

同社によると認証取得は県内初。マレーシアを中心にムスリム(イスラム教徒)圏内の顧客から認証取得の要望があった。同社は少なくとも2割以上の生産増を見込む。今後、中近東への展開も視野にムスリム圏の食材としてクロレラとユーグレナの販路拡大に期待をかける。
 認証は昨年12月5日付で、日本ムスリム協会から取得した。マレーシア政府のハラール認証機関(JAKIM)が同協会を日本の認証機関として指定している。JAKIMは世界的にも知名度が高く、マレーシア以外のイスラム圏でも有効だとされる。
 拓殖大学イスラーム研究所の指導を受けて約2年をかけて取得した。生産に使う培養の寒天などの材料はほとんどが無認証。各メーカーに認証取得を依頼したり原料を変更したりして、石垣島の生産工場の検査も受けて取得に至った。
 同社は現在、北米や欧州など世界16カ国に製品を輸出している。中国や台湾、香港、シンガポールなどアジアにもクロレラの販路拡大を図る。
 浅井康史常務兼工場長によると、5年前にムスリム向けに輸出を試みたが、認証がないため輸出できなかった。顧客からの要望もあり、ハラール認証取得に動き始めた。顧客は認証取得すれば、最低でも2割増の発注をする、と話している。
 志喜屋社長は「世界中の人に歴史あるクロレラと話題のユーグレナを届けるのが使命。そのツールの一つとしてハラール認証を取得した。次のステップとしてオーガニッククロレラに挑戦していく」と話した。
 八重山殖産にユーグレナの生産を委託する親会社のユーグレナ(東京都、出雲充社長)は「60兆円とも推測されるハラール食品市場への輸出が可能となる。イスラム圏でミドリムシとクロレラを身近な食材とするよう現地の文化などを調査しながら普及を推進していく」とコメントした。
 問い合わせは八重山殖産(電話)0980(86)7154。