「建白書」行政文扱い 来年4月以降に破棄


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 【東京】県内の全市町村長や議会議長らが署名し、昨年1月に安倍晋三首相に提出した米軍輸送機オスプレイの配備撤回と普天間飛行場の県内移設断念などを求める「建白書」が、憲法に基づく請願書ではなく、行政文書として処理され、防衛省内で保管されていることが7日、政府が決定した答弁書で明らかになった。

保存期間は来年3月末までで、その後は破棄される予定。関係者からは政府側の扱いに「建白書の重みを受け止めていない」と疑問の声が上がっている。
 建白書に対し政府は、請願法が規定している請願者の住所・居所が記載されていないとして「請願書として受理したものではない」と判断。公文書管理法上の「行政文書」に該当するとした。管理簿では「配布資料等」とされている。
 憲法は国民がさまざまな要望を文書で申し出る権利を認めており、官公署は要望を述べた請願書に対し、誠実に処理する義務を負う。だが「行政文書」にはそうした義務はない。
 政府は建白書に関して社民党の照屋寛徳衆院議員が出した質問主意書に回答した。照屋氏は歴史公文書として国立公文書館に移管するよう提起したが、「保存期間満了までに防衛省が適切に判断する」と答えた。
 政府側の対応について沖縄大の仲地博副学長(行政法)は「建白書は沖縄の世論のありようを示す極めて重要な文書だ。文書の形式にかかわらず、建白書を国立公文書館に移管するかどうかで、沖縄に対する国の姿勢が示されることになる」と指摘している。