オケ、大合唱と調和 琉球フィル“イオ”


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第1回定期演奏会で「シェエラザード」を演奏する琉球フィルハーモニックチェンバーオーケストラ“イオ”=9日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟

 琉球フィルハーモニックチェンバーオーケストラ“イオ”の第1回定期演奏会が9日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟で開かれた。マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」の「復活祭の合唱」などで混声合唱団アミーチと共演。同オーケストラの首席指揮者ゲオルグ・チチナゼが初めて指揮し、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」などを演奏した。

沖縄を拠点に、世界水準を志向するプロ演奏家たちで構成するフルオーケストラが、壮大な音色で来場者を魅了した。
 幕開けはヴェルディが19世紀、旧約聖書「バビロンの捕囚」をもとに作った歌劇「ナブッコ」。序曲に続いて「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」で、アミーチの歌声がオーケストラの演奏に乗る。
 「カヴァレリア・ルスティカーナ」の「復活祭の合唱」は、神に祈りをささげる村人たちと神へ救いを求める村娘サントゥッツァの思いが交錯する合唱を、アミーチが巧みな構成で歌い上げる。聞く者の心を浄化する大合唱とオーケストラの調和を聞かせ、来場者は立ち上がって拍手を送った。ソロは佐久田藤子(ソプラノ)が務めた。
 「シェエラザード」はロシアが繁栄したロマノフ時代を代表する作曲家コルサコフが、アラビア文学を代表する「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」の語り手である女性・シェエラザードに焦点を当てた作品。ドラマチックな物語を表現する表情豊かな四つの楽章で構成する。チチナゼの指揮は情熱的で躍動感にあふれ、求心力に満ちている。
 女性的なしなやかさの際立つシェエラザードの主題は宮良美香によるバイオリン独奏。苦行僧の物語を描く起伏に富んだ第2楽章は終結部、多様な主題が絡み合って激しく、力強い。荒れ狂う海を鎮めるほどの、シェエラザードの深い愛を示す穏やかな終曲で締めくくった。
 終演後も拍手は鳴りやまず、再び登壇したチチナゼがタクトを振ってチャイコフスキーの「白鳥の湖」からチャルダッシュなどを演奏した。(宮城隆尋)