宜野座ヘリ墜落、現場土壌に有害金属 米軍、詳細伝えず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【宜野座】昨年8月に宜野座村の米軍キャンプ・ハンセン内に米軍ヘリが墜落した事故現場の土壌から、数種類の有害な金属などが検出されたことが10日、村などへの取材で分かった。

米軍は1月から土壌の除去作業を始めているが、搬送先は村に伝えていない。墜落現場付近には取水停止した飲料用の大川ダムがある。事故から約半年後に汚染土壌を除去する米軍の姿勢に、當眞淳村長は「対応が全て遅すぎる。早期に立ち入り調査ができるよう訴える」と憤った。
 村などによると、米軍は汚染土の除去を目的に1月27日から、墜落地点を中心とした約50平方メートル以内、深さ5~25センチの表土を取り除く作業を続けている。米軍は昨年10月30日に独自に環境調査を実施し、有害物質を把握したとみられる。
 村は沖縄防衛局を通して有害物質の情報を受けたが、種類や量、搬送先など詳細は知らされていない。米軍は表土除去後、基準値を超える有害物質が検出されなければ、県などが求める現場立ち入り調査の日程を調整するとみられる。
 當眞村長は「事故現場の土は長期間放置されており、周囲の汚染も懸念される。ダムも近いので有害物質の影響が少ないことを願う。現場立ち入り調査がこれ以上、先延ばしにならないよう訴える」と語った。同調査が実現すれば、県が土壌の汚染状況、村が水質や放射能の有無を調べる予定。安全が確認されるまで大川ダムの取水停止は続く見通しだ。
 沖縄防衛局は10日、事故原因などを説明するため村役場で開かれた村基地対策協議会に事故後初めて出席。同局は、事故で焼失した立ち木の補償は「限りになくゼロに近い」と説明した。