竹富町教科書 文科省、直接是正要求へ


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 【東京】八重山教科書問題をめぐり文部科学省が竹富町に是正要求するよう県教育委員会に指示した件で、同省は10日までに、県教委との意見交換を近く打ち切り、3月上旬にも同町に対して直接是正要求する方向で検討に入った。

県教委が指示に従わない場合の措置。2014年度の開始前までに同町に保守色の強い育鵬社の教科書を採択させるため、より踏み込んだ対応が必要だと判断した。
 文科省はこれまで、県教委の質問に回答するなど「真摯(しんし)な対応」をアピールしていた。だが3月までに県教委が指示に従わなかった場合、新年度の教科書配布に間に合わなくなる可能性が高まることから、竹富町に直接、是正要求する方針。国が市町村に対して直接、是正要求を出すのは初めて。
 県教育委員会(宮城奈々委員長)はことし1月、文科省に採択地区の分割について、見解を求めた。これに対し、文科省は「十分に教科書の調査研究が可能かどうかを踏まえれば、八重山地区は一つの地区として設定すべきだ」と分割方針を否定した。その上で「速やかに竹富町に対する是正の要求を行ってほしい」とあらためて求めた。
 文科省の回答について、県教委は「質問と回答を照合したが、質問への回答になっていない。再び疑問が出てきた」(宮城委員長)として、再質問する構えを見せていた。
 文科省の担当者は「県教委の12日の定例会の結果を踏まえて判断するが、是正を求める方針は変わらない」と説明。県教委からの回答を打ち切って直接是正要求するかについては「その可能性は否定しない」と述べ、竹富町に是正要求を直接出すことを示唆した。

◆直接是正要求は反発引き起こす
 高嶋伸欣琉球大名誉教授の話 直接の是正要求の後は違法確認訴訟しかない。訴訟になれば時間がかかり、新学期には間に合わない。見通しがあっての是正要求ではなく国としても手詰まりなのだろう。直接の是正要求は、国が中身まで統制しようとする中央集権的な教育につながり、反発の議論を引き起こすことになる。官僚としては避けたいところだが、大臣を中心に強行しているのだろう。