国内最古の貝器出土 南城サキタリ洞、旧石器初


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 【南城】県立博物館・美術館は15日、南城市のサキタリ洞遺跡から貝で作られた鋭利な道具や装飾品、人骨など39点が出土したと発表した。同じ地層にあった木炭を放射性炭素年代測定した結果、国内最古となる2万3千~2万年前(後期旧石器時代)のものと判明した。

国内では縄文時代(約1万数千~2千数百年前)の貝製品は出土しているが、旧石器時代の遺跡から見つかるのは初めて。港川人時代の人類が使用していた可能性もあり、博物館は「旧石器文化を解明する上で貴重。世界的にもまれだ」としている。
 博物館によると、貝製の道具は二枚貝などを割って扇形になった破片で、23点出土した。一部には割れ口を鋭くする加工が施されている。物を切ったり、削ったりする道具だったとみられ、使用時に生じる細かい傷も確認された。博物館は「食材を切ったり、何かを加工したりしていたのではないか」とみている。
 装飾品は細長い形をしたツノガイを加工したもので、2点見つかった。長さ約1・5センチの円筒形で、ビーズとして使用したとみられる。同じ地層から人の歯や足首の骨、食したとみられるモクズガニの爪、焼けた形跡のある土も見つかった。
 博物館は15日、サキタリ洞遺跡を報道陣に公開し、炭化物を多く含む黒い地層から出土したと説明した。博物館の山崎真治主任は「遺跡周辺で人類が生活していたと考えられる」と指摘。「旧石器時代の石や骨で作られた道具は知られていたが、貝製の道具は発見されてこなかった。港川人の時代の文化を解明する手掛かりとなる」と話した。18日から3月16日まで、出土品を館内で一般公開する。
 2009年に始まったサキタリ洞遺跡の発掘調査では、これまで1万2千年前の人骨や石器、9千年前の土器などの出土が相次いでいる。さらに古い時代のものが見つかる可能性もあり、博物館は14年度も調査を進める予定だ。

<用語>サキタリ洞遺跡
 南城市玉城字前川にある洞穴遺跡。県立博物館・美術館が2009年から発掘調査を実施。これまでの調査で1万4千年前の石器と人骨、県内では最古となる9千年前の「押引文土器」が出土した。今回発掘した地層よりも古い時代の地層も残っており、今後の調査の進展が期待されている。
英文へ→Japan’s oldest shell tools found in Sakitari Cave in Okinawa

サキタリ洞遺跡で見つかった(手前から)貝製の道具、貝製のビーズなど=15日、那覇市の県立博物館・美術館
貝器などが発見されたサキタリ洞遺跡 地図