南部医療センター、退院患者の緊急受け入れカード発行


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 南風原町の県立南部医療センター・こども医療センター(我那覇仁院長)は、他医療機関へ転院する患者や在宅療養に伴い退院する患者を対象に、緊急時の救急受け入れを保証する「なんこいカード」を14日から発行している。

退院後も緊急時には同センターが受け入れるという文言や、患者IDが明記されている。緊急時における患者や転院先の不安を取り除くことが目的。長期入院患者を療養病床などのある他医療機関に受け入れてもらう際の連携強化も目指している。
 南部医療センターによると、救急受け入れを保証するカードは県内でほとんど例がないという。カードは同センターの名称の頭文字から命名した。
 若松病院(北中城村)に転院する小橋川幸枝さん(21)=西原町=に14日、第1号のカードが我那覇院長から手渡された。幸枝さんは2012年8月、消化器系の疾患を発症し同センターに救急搬送され、約1年半入院した。病状が落ち着いたため、リハビリテーションを集中的に施す病棟のある若松病院に転院した。父親の共弘さん(56)は「体調が急変した時にカードを見せたらいいんですね」などと質問していた。
 1月下旬現在、同センターの入院患者411人のうち、30日以上の長期入院患者は120人。同センターは3次救急を担う急性期病院のため、重症急患用の病床確保が不可欠となっている。一方、急性期を過ぎた患者を他医療機関へ紹介する際、受け入れ先に緊急対応への不安があり、転院が進まない事例が多かった。
 我那覇院長は「療養型病院にとってもこのカードがあれば安心できると思う。各病院の機能分担につなげたい」と強調した。
(高江洲洋子)

我那覇仁院長(右端)から第1号の「なんこいカード」を受け取った小橋川幸枝さん(左端)と父親の共弘さん=14日、南風原町の県立南部医療センター・こども医療センター
なんこいカード