知事承認、環境部意見反映せず 県議会辺野古百条委


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仲井真弘多知事の埋め立て承認を調査する県議会の百条委員会で答弁する県の當間秀史環境生活部長=19日午後、県議会

 仲井真弘多知事による米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て承認の経緯について検証する県議会の調査特別委員会(百条委員会)の集中審議が19日、4日間の日程で始まった。

初日は當間秀史環境生活部長への証人喚問を行った。環境生活部は政府の埋め立て申請に対して昨年11月29日に「生活、自然環境への懸念が払拭(ふっしょく)できない」との意見を提出したが、それ以降の當間氏と知事や土木建築部長らとの意見交換がないまま、知事が承認を判断していたことが明らかになった。
 県が百条委員会に19日提出した昨年11月12日作成の埋め立て承認審査中間報告によると、県が騒音問題やジュゴンへの影響、環境保全への配慮について、「環境生活部の見解をもとに判断」する方針を示していたことも分かった。環境への影響を懸念する県庁内からの意見は事実上、仲井真知事の承認判断に反映されなかったことになる。
 12月下旬の審査の最終結果では辺野古移設について「合理性が認められる」と結論付けているが、11月の中間報告の段階では、県外移設に対して「合理的かつ早期に課題を解決できる」と評価している。
 さらに中間報告は埋め立ての拒否について「裁量の範囲外となる可能性が大」という意見と、「政治的な判断で埋め立ては要らないとするのも一つの判断」との意見を併記している。
 當間氏は証人喚問で11月下旬の環境生活部意見に関し、知事が埋め立て承認した12月26日時点でも、「環境に対する懸念は払拭できない」とする考えは変えていなかったと証言した。
 集中審議の開始をめぐっては19日午前、野党が要求していた承認前約1カ月間の県内部の調整資料を県側が提出しなかったため、野党が資料提出を再請求。県は午後、新たな資料を提出したが、野党は内容が不十分だと反発し、委員会は百条委の調査権に基づく提出要求として、県に20日の開会までの提出を求めた。
 2日目の20日は當銘健一郎土建部長、山城毅農林水産部長の証人喚問を行い、21日は知事を喚問する。
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