春のセンバツ「友情応援」 羽地さん兄弟、躍進期待


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 第86回選抜高校野球大会の開幕まで、21日であと1カ月。沖縄からは沖縄尚学が3季連続、美里工業が初めての甲子園出場を果たす。甲子園で沖縄勢の健闘を吹奏楽団の指揮で毎回応援している羽地靖隆さん(65)=市立尼崎高校吹奏楽部顧問=は沖尚の応援を担い、弟の律雄さん(58)が勤める尼崎双星高校吹奏楽部が美里工を応援する。

4年ぶりの県勢2校出場に羽地さん兄弟は躍進を期待し、おなじみの「友情応援」も一層の盛り上がりを見せそうだ。
 靖隆さんは3人兄弟の長男で、律雄さんは三男。1962年に父親の仕事の都合で伊良部島から尼崎へ移り住んだ。靖隆さんは教職に就いて10年目の81年夏から、30年余りにわたって甲子園で県勢の応援を続け、今回は約80人の部員を率いて臨む。「沖縄は古里みたいなもん。県民の気持ちで演奏している」と靖隆さん。沖尚の過去2度の春制覇もスタンドで見守った。「夢をもう一度」と願い、好機に演奏する「沖尚サンバ」や「ハイサイおじさん」を球場に響かせたいと心待ちにする。
 美里工への友情応援は、羽地さん兄弟といとこに当たる浦添工業高校の與那覇強校長の前任校が美里工だった縁で実現した。昨年、尼崎双星が修学旅行で沖縄を訪れた際に美里工の生徒と交流し、與那覇校長から律雄さんへ「甲子園出場が決まった際にはぜひ」と依頼があったという。尼崎双星吹奏楽部は昨夏の甲子園で、延岡学園(宮崎県)の応援に加勢して準優勝を見届けた“実績”があり、今回は約60人の部員が美里工ナインを後押しする。
 律雄さんは体育科教諭で陸上競技が専門だが、かつて別の高校で野球部監督を務めたこともある。「美里工業は初出場だが力はある。勢いに乗れば勝ち進めるのではないか」と予想する。
 長年、甲子園のお膝元で沖縄球児の活躍を見守ってきた羽地さん兄弟。靖隆さんは「昔と違って強くなり、沖縄の学校は注目されている。今年も精いっぱい力を発揮してほしい」と話し「2校が最後まで残れば一番いい」と県勢の決勝対決も期待した。(大城周子)

2008年夏の甲子園で浦添商の応援を指揮する羽地靖隆さん=2008年8月15日、甲子園
羽地 律雄さん