辺野古百条委、知事「適法」繰り返す 承認経緯は不明


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 仲井真弘多知事による米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て承認の経緯を検証する県議会調査特別委員会(百条委員会)は集中審議3日目の21日、知事本人を証人喚問した。政府の埋め立て申請を承認した理由に関して知事は「公有水面埋立法にのっとり、基準に適合していると判断した」などと述べ、従来の見解を繰り返した。

議論は平行線で終わり、承認判断に至る具体的な経緯やその理由は明らかにならなかった。
 東京都内の病院に緊急入院中だった昨年末、菅義偉官房長官や他の政府・与党関係者とも会い、予算や基地問題に関して意見交換したことを認めたが、「埋め立ての話はしていない」と説明した。
 野党側は埋め立て承認直前の昨年12月22日の知事と菅氏の密会で、承認の条件などが話し合われた可能性もあるとみて、菅氏の百条委招致を求めた。24日に再協議し、可否を決める。
 県議会での百条委設置は3度目だが、知事の証人喚問は初めて。
 12月27日付で県がまとめた最終審査結果で、普天間の危険性除去に関して「埋め立てによらなければ充足されない」と記述していることについて、知事は「覚えていない」と述べた。その上で「普天間の危険性除去は県外移設を含めいろいろあり得る」と答弁。野党側は「(埋め立てないと危険性は除去されないとした)判断と矛盾する。承認理由の根本が崩れた」と批判した。
 環境への懸念が払拭(ふっしょく)できないとした環境生活部意見について、知事は「懸念を拭えないという意見は、(埋め立てが)駄目だということではない」と承認判断の妥当性を主張。「環境保全は不可能」とした2012年2月の環境影響評価書の知事意見と、最終的な埋め立て承認との整合性については、環境影響評価の補正などを経て意見が修正されたとの見解を示した。
 承認に際し政府に求めた普天間の5年以内の運用停止に関し、政府から担保を取っているかと質問されたが、知事は「委員会の目的と関係ないので控えたい」と答弁を避けた。集中審議最終日の24日は環境アセスを担当した県環境影響評価審査会の宮城邦治会長と、名護市の稲嶺進市長を参考人に招致する。宮城氏には午前10時、稲嶺氏には午後2時から質問する。
→録画 県議会百条委員会知事証人喚問

県議会百条委員会で答弁する仲井真弘多知事=21日
仲井真知事の証言ポイント