農地を集約して貸し出す「管理機構」 県内も4月始動


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農地の集約(イメージ)

 農地を集約して貸し出す「農地中間管理機構」が、4月にも県内で始動する。国の施策で各都道府県に機構を設けるが、県内は農地売買の仲介で実績のある県農業振興公社に設置する方向で調整が進んでいる。農地の貸し手には協力金を支払う。一方、継承に血縁などを重視する傾向が強い県内は、農地提供に消極的だ。

公的機関の信頼性を担保に農地の流動化を図り、耕作放棄地の解消や担い手育成につなげる考えだ。
 農地中間管理機構は、国が成長戦略の柱に位置付けている。10年以上農地を貸し出す場合、面積に応じて「機構集積協力金」を支払う。将来的な農業の在り方を地域自らが設計する「人・農地プラン」と合わせ、効率的な農地利用を図る。
 県農業振興公社は県の承認を経て、機構を運営する新しい課を組織内に設ける。2014年度内には農業委員会を中心に電子化した農地台帳も作成する。県は運営事業費などとして、同年度予算案に5億5700万円を盛り込んだ。協力金と台帳作成は全額、事業費は7割を国が負担する。
 県農政経済課の仲村剛課長は「機構の役割は人・農地プランを充実させる上での環境づくり。関係者で役割分担して進めていく」と連携姿勢を強調する。
 貸し手と借り手の窓口は、市町村に委託する方針だ。窓口を通じて公募する。機構は各市町村と協力して「人・農地プラン」を基に農地利用配分計画をまとめ、実質的な貸し借りを進める。13年12月末現在、県内31市町村の102地区が同プランを作成済みだ。
 県農業振興公社の大村学副参事は「これまで売買中心で農家に『農地を失う』との不安があった。貸し借りの制度を公的機関が仲介することで、集約しやすくなるのでは」と見通す。農地集約による燃料費などのコスト削減効果も指摘した。機構については、JA沖縄中央会の担当者も「担い手育成には土地が必要。積極的に活用したい」としている。(長嶺真輝)