賃貸退去、補修割合をルール化 県宅建協会と不動産協県本部


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協定を結んだ徳嶺春樹会長(手前左)と迫幸治本部長(同右)=21日、那覇市泉崎の県不動産会館

 県宅地建物取引業協会(徳嶺春樹会長)と全日本不動産協会沖縄県本部(迫幸治本部長)は21日、賃貸住宅退去時の補修負担割合に関する県ルールをまとめた。県内の賃貸物件の仲介や管理業務の適正化に向け、県ルールの適用方針を確認し協定書に調印した。

 県ルールは畳やフローリングなどの床や壁、建具など部分ごとに「畳の表替え」「結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ」など補修内容を説明し、その項目ごとに貸主、借り主のどちらが負担するかを明確化、その理由も併記した。畳の枚数や補修の箇所など借り主の負担単位も定めた。現状を把握するための「入居前立ち会いリスト」や県ルールを反映させた県宅建協会監修の賃貸借契約書なども作成、活用を進める。
 県ルールには法的拘束力はないが、両団体の会員計約1500社に適用を促す。
 賃貸住宅の原状回復を図る補修について、貸主と借り主の費用負担などは、これまで判例や国土交通省の政策指針を参考に決めていた。しかし、細かい規定はなく、補修の責任の取り方などは各物件(貸主)それぞれで判断しているのが現状で対応が異なり、トラブルにつながっていた。県宅建協会によると、原状回復についての相談は年間100~120件に上るという。
 徳嶺会長は「ルールがあればトラブルを防げる。これを機に快適な住環境、取引できる環境を整えたい」と強調。迫本部長も「相談件数の減少につなげたい」と話した。
 両団体は県ルールの解説書を作成し会員業者に配布するほか、内容をホームページでも公開している。